
その友は、かつて我が家で開いてくださっていた家庭集会「オリーブの会」の導き手で、証し集への感想を寄せていただき、羽仁もと子の一文「われわれは果たして自由人たり得るか」も同封してくださった。

友は執筆者のある方とルーテル神学校で持たれた聖書研究会でご一緒だったことや、別の方とはKGK(キリスト者学生会)のOBでご一緒だったなど、神さまの不思議な御手に胸を篤くした。
軽井沢バイブルキャンプに何度も参加されていた友は、執筆者が書いておられるシュテッカーさん(P119)のこともよくご存じで、このご夫妻は12月と1月に相次いで召天されたことを教えてくださり、執筆者にもお伝えさせていただいた。
同封してくださった羽仁もと子さんの文章は「多難なるゆえに多望、哀しくして喜び得べき不思議な新年が与えられた」で始まり、日本がようやく無条件降伏して終戦を迎えた翌年昭和21年1月に記されたものである。

そして友は、「多難なるゆえに多望という言葉で新年を捉えていますが、まさに2021年の幕開けです。与えられたこの1年を着実に歩んでまいりたいと願っています」と記され、私もまた今一度姿勢を正して着実な日々を重ねていきたいと切に願う。

人類(われわれ)の運命はだれに手に握られているか、日本人は今連合国の、占領軍司令官の、あるいは現在の時代の力に握られているといえます。しかしそれよりもなお深くなおなお遠く、なおと確かにわれわれの運命に絶対の係わりを持っている方(全知全能なる唯一の神)の手に握られています。(略)自由は与えられて、人間の真に「自由な人」になるのには、現在あるかぎりの力を出して、動かすべからざる天の経綸の中を、めいめい職分を通して、もっとも素直に正直に従順に、それゆえに自然に恐れなく、実に堂々と進みゆくのみであります。けれどもそれは、いじけた気の小さいわれわれに容易なことではありません。軍国主義の圧迫から解放されてそれで自由になり得たと思っていたら違います。さまざまの外的強制が除かれても、自分自身の中にある不自由さはなくなりません。(略)与えられた自由の境地を真に慕って、現在自分のできる限りの良心と良能を用い、あらゆる刺激をものにしながら、み心に従って生きようとする素直な人間は、毎日毎日新たな心新たな健康に恵まれてゆきます。そうしてその積もり積もった日々の力の累積が、また与えらるさまざまな機会に、たびたび大きな飛躍をすることができるものです。




カワラヒワ

ジョウビタキの♀

羽仁もと子(1873年~1957年)は、日本で女性初のジャーナリスト、自由学園の創設、婦人之友社を起業した。
「父なる神は、おのおのの良心に痛切に訴えることをやめない。その御心の権化はキリストである、その十字架である。幾たび迷っても、わが良心の麻痺しきらないうちに、その声を聞き入れることのできる人は幸いである」。
(羽仁もと子選集『人生の朝の中に』より)

キセキレイ
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