
「『火垂るの墓』のようなものが戦争を食い止めることはできないだろう。それは、ずっと思っています。戦争というのはどんな形で始まるのか。情に訴えて涙を流させれば、何かの役にたつか。感情というのはすぐに、あっと言うまに変わってしまう危険性のあるもの。
心とか情というのは、人間にとってものすごく大事なものではあるけれども、しかし、平気で変わってしまう。何が支えてくれるかというと、やはり『理性』だと思うんです。戦争がどうやって起こっていくのかについて学ぶことが、結局、それを止めるための大きな力になる。」
「なんとかしなきゃと言いながら、無力感が強いですね。安倍政権には(自衛隊南スーダン派遣の)日誌のことも、森友学園も、すごい不祥事が続いていて、でも、なんでそんなことになっているのかを考えたら、えらいことでしょう? 『政権を維持するため』ですよね、簡単に言えば。
忖度であれ、なんであれ、どういうメカニズムかは知りません。もちろん、それは改善する必要があるんでしょうが、しかしどっちにしても、それを支えようという力があれだけ働いているのが露骨にわかるにもかかわらず、これで崩れないというのは、もうちょっと考えられない。本当に信じられない」。
仮にアメリカが北朝鮮へ攻撃を開始したら、その報復攻撃の「標的」となるのは日本だ。沖縄の米軍基地が攻撃され、国民の血が流れる。
そうした現況で、マスコミが報じるべきは、こうした安倍政権の態度が日本を確実に戦争へと導いているという事実に他ならない。にもかかわらず、とりわけテレビメディアは、政府の対応の危険性にほとんど言及しようとせず、逆にトランプと安倍首相の挑発に対する北朝鮮側の反応ばかりを報じ、その“危険性”をひたすら煽り、人々の恐怖という感情を刺激しているだけだ。
沖縄の基地問題もそうだが、安倍政権は「戦争はごめんだ」という人々の感情を逆手にとり、「戦争をしないために」との名目でその準備を進めてきた。そして、気がつけば、すでに片足を突っ込んでいた。高畑監督が「『火垂るの墓』では戦争は止められない」という表現で警鐘を鳴らしてきた状況は、いみじくも、いま、この瞬間こそを言い表している。
これに関して【2018.4.9 AERAdot.】から今朝配信された「古賀茂明『安倍政権の霞が関破壊に手を貸す忖度メディア』」で、闇の根源を話してくださっているので是非アエラに掲載された全文を読んでいただきたい。
まずは、マスコミが「心ある官僚」から見て、信頼に値するものに生まれ変わる。それがなされなければ、スキャンダルは、単に世の中を騒がせただけ終わり、その真相は永遠に闇の中ということになってしまう可能性が高い。
マスコミ、とりわけ、テレビ局が、本来の機能を取り戻すことができるかどうか。それを考えると、安倍政権が倒れなければ、それは無理だという答えにたどり着く。安倍政権が倒れるにはマスコミがその機能を取り戻すことが必要だから、結局は堂々巡りになっているというのが、悲しいかな、日本の政治とマスコミの現状なのだ。
1人ひとりの生き方、在り方がいかに大切であるかを思う。官僚やマスコミの人々は聡明であるべきだ。阿(おもね)るような卑屈な生き方ではなく、自らの良心に問いながら職務を果たしてほしい。そのことは取りも直さず自らの尊厳をも守ることでもあるのだから。